ソウシチョウに巡り合う2017/02/20

 雑木林の真ん中で休憩していると、近くの地面で小さな音がします。枯れた葉っぱの音です。ザッ、ザッと大きな音ならシロハラかツグミあたりでしょうが、もっと小さな生き物に違いありません。そっと音のする方に体をひねってみると、ソウシチョウがいました。「相思鳥」と書きます。だいぶ離れています。
 とにかく動かないようにしてカメラを構え、シャッターを切りました。ぱっと地上に降りて、また舞い上がります。4羽ほどが入れ代わり立ち代わり姿を見せました。
 手元にある野鳥図鑑でソウシチョウは「かご抜け鳥」として巻末に小さく紹介されています。中国から輸入された鳥が、かごを抜け出て繁殖した鳥です。自力で中国から渡ってきた鳥なら野鳥になりますが、人工的に運ばれた鳥は野鳥に分類されません。ワカケホンセイインコ、ガビチョウなども「かご抜け鳥」です。もちろん、鳥に責任はありません。
《Panasonic Lumix-G7 + 100-300mm》
 
ソウシチョウ

ソウシチョウ

ソウシチョウ

ソウシチョウ 美しいけれど…2013/02/15

 日本水仙が中国経由で渡ってきたと前回書きましたが、このソウシチョウは中国からやってきた鳥です。ただし、自力でやってきたのではありません。日本で飼うために人間が持ち込みました。江戸時代から輸入されていたようですが、日中の国交が正常化された1980年以降、本格的に輸入されるようになったといわれています。売れ残った鳥を野に放ったペット業者もいたとか。ソウシチョウは籠抜けした鳥なので、「野鳥」とは呼びません。しかし、定着してしまえば野鳥になってしまうでしょう。
 この写真は、清瀬市で撮りました。10羽ほどが群れていて、お互いに鳴き交わしていました。賑やかな声です。だから「相思鳥」と書くのかなと思いました。スズメとほぼ同じ大きさで、ちょこまか動きます。暗い藪の中からちょこんと顔を出して枝にとまり、すぐに飛んで移動します。ピントをあわせているうちにいなくなる。シャッターを切ろうとすると動いてしまう。撮るのに苦労しました。100コマほど撮ったのですが、ピントが合っていたのは1割以下でした。
 それにしても派手な鳥です。かわいいことはかわいいのですが、「日本の侵略的外来種ワースト100」に数えられ、メジロ、コマドリ、コルリ、ウグイスなどの在来鳥類に影響が及ぶのではないかと心配されています。関東以西の都府県で分布が確認されていますが、どういうわけか千葉県では確認されていないことになっています。東北では唯一山形県で確認されています。新潟、富山、福井そして北海道では確認されていません。確認されていないから分布していない、とはいえないと思いますが。
環境省ホームページある「特定外来生物の解説」は、ソウシチョウについて興味深い記述をしています。以下はその引用です。
 「姿が美しかったり、声がきれいであったりしたために、多数の個体が飼育された。また、伝統的な化粧製品であるウグイスの糞粉の代替品として本種の糞が用いられ、集団で飼育されている。近年、ソウシチョウの輸入は、輸出国の中国の政策および日本における需要等の要因からほぼなくなっている。一方で、飼育が容易でペットとしても魅力があることから広く飼育されている可能性がある」
 
ソウシチョウ

ソウシチョウ

ソウシチョウ

ソウシチョウに遭遇2012/10/09

 箱根でソウシチョウを見ました。地面に落ちた実をたべていました。緑、オレンジ、黄色、赤とまあ賑やかな鳥です。中国南部からやベトナム北部などに棲息する鳥です。スズメほどの大きさです。きれいな鳥で鳴き声もいいので、江戸時代から輸入されていたようですが、1970年代後半から80年代にかけて、本格的に日本に持ち込まれるようになったそうです。
 籠抜けした鳥が野生化し、増え続けています。北陸を除く関東以西で確認されています。自力で日本にやってきて棲みつけば立派に野鳥といわれますが、ソウシチョウのように人為的に持ち込まれた鳥は野鳥とはいわれません。
 外来生物法で特定外来生物に指定されています。メジロ、コマドリ、コルリ、ウグイスなど日本の在来種が衰退する心配がある、ということでしょう。
 2年ほど前、東久留米市でも見ました。
 
ソウシチョウ

ソウシチョウ

ソウシチョウとの遭遇2011/02/01

 ソウシチョウ(相思鳥)は、黄、オレンジ、緑の色がひきたつ、スズメほどの鳥です。移動の途中でしょうか、東久留米に姿を見せました。藪から地面に降りたり、再び藪の陰に隠れたり、ちょこまか動いていました。5羽を見ましたが、もっといたような感じでした。
 日本の鳥ではありません。中国南部を含めた東南アジアに分布しています。見た目がきれいで、よくさえずることもあって、飼い鳥として人為的に日本に連れてこられました。江戸時代には、少ないながら日本に持ち込まれていたようです。本格的に持ち込まれるようになったのは1980年代からのようで、籠脱けした鳥が一気に野生化しました。自力で日本に渡ってきた鳥ではないので、厳密な意味では野鳥とはいえません。兵庫県の六甲山で1年中見られるといいます。
 国立環境研究所の「侵入生物データベース」には、次のような記述があります。「野外への定着は、兵庫県神戸市の再度山1931年。その他の地域では、1980年代前半以降に生息確認」。山形県と関東地方以南(以西)の各都府県で分布の記録があります。北陸は福井県だけで、沖縄県にはいないようです。
 外来生物法で生態系に被害をおよぼす特定外来生物に指定されている鳥は、4種類あります。ソウシチョウはその一つです。輸入や飼育が禁止されています。被害としては、「長期的には同所種や捕食される小動物等への直接間接の負の影響も推定される」「ハワイ諸島では、本種が侵入した地域では、在来のハワイ固有鳥類が衰退したというセンサスデータがある」などがあげられています。ネットで調べた限りでは、ウグイスが脅かされる危険が指摘されています。日本生態学会の「日本の侵略的外来種ワースト100」にも入れられているので、さんざんな評価です。適応力が高いのでしょう。
 生物多様性を破壊しかねないと心配されている鳥ですが、彼らの責任ではありません。そこがなんともつらい話ですね。

ソウシチョウ

ソウシチョウ

ソウシチョウ