計画停電(輪番停電)パート8 電気供給約款2011/03/23

 計画停電は当分続きそうです。来年の夏も必要になるのではなかい、という話まで出始めました。節電を続けることは悪いことではないと思いますが、計画停電しか方法がないのかどうか、よく検討してみる必要があるのではないか。
 今回の計画停電は、緊急に実施されたものです。だれがどんな権限でやったのか。法律にもとづいて実施されているわけでなありません。東電と契約者との「電気供給約款」にもとづいたものです。東電が各家庭や会社と交わした取り決めです。第40項に「供給の中止または使用の制限もしくは中止」という規定があります。該当箇所を引用します。(約款の全文は、ここで見ることができます
 
 
---約款 第40項---------------------------------------
 供給の中止または使用の制限もしくは中止
 (1) 当社は,次の場合には,供給時間中に電気の供給を中止し,またはお客さまに電気の使用を制限し,もしくは中止していただくことがあります。
 イ異常渇水等により電気の需給上やむをえない場合
 ロ当社の電気工作物に故障が生じ,または故障が生ずるおそれがある場合
 ハ当社の電気工作物の修繕,変更その他の工事上やむをえない場合
 ニ非常変災の場合
 ホその他保安上必要がある場合
 (2) (1)の場合には,当社は,あらかじめその旨を広告その他によってお客さまにお知らせいたします。ただし,緊急やむをえない場合は,この限りではありません。
------------------------------------約款 第40項------
 
 
 今回の計画停電は「非常変災の場合」にあたるようです。
 では、計画停電による電気料金はどうなるのか。第41項に「制限または中止の料金割引」というのがあります。一般家庭がどうなるのか、この内容を理解する知識が私にはありません。気になるのが、第42項の「損害賠償の免責」です。これもなかなか微妙です。引用しておきます。
 
 
---約款 第42項--------------------------------------
 (1) 40(供給の中止または使用の制限もしくは中止)(1)によって電気の供給を中止し,または電気の使用を制限し,もしくは中止した場合で,それが当社の責めとならない理由によるものであるときには,当社は,お客さまの受けた損害について賠償の責めを負いません。
 (2) 36(供給の停止)によって電気の供給を停止した場合または48(解約等)
によって需給契約を解約した場合もしくは需給契約が消滅した場合には,当社は,お客さまの受けた損害について賠償の責めを負いません。
 (3) 漏電その他の事故が生じた場合で,それが当社の責めとならない理由に
よるものであるときには,当社は,お客さまの受けた損害について賠償の
責めを負いません。
-------------------------------------約款 第42項-----
 
 
 私が気になるのは、(1)にある「当社の責めとならない理由によるものであるときには」という文言です。福島第1原発や火力発電所が地震で被害にあったことが計画停電の原因です。政府も東電も今回の地震と津波を「想定外」といっています。どこまで東電の「責め」となるか、東電がどこまでその「責め」を認めるか、現状では即断できないでしょう。停電で不利益を被りながら泣き寝入りさせられる人たちは出ない、といいきれるのか。不安です。
 法律にもとづく場合は、電気事業法第27条(電気の使用制限等)と政令です。該当部分だけ引用します。
 
 
---電気事業法第27条------------------------------------
第二十七条  経済産業大臣は、電気の需給の調整を行わなければ電気の供給の不足が国民経済及び国民生活に悪影響を及ぼし、公共の利益を阻害するおそれがあると認められるときは、その事態を克服するため必要な限度において、政令で定めるところにより、使用電力量の限度、使用最大電力の限度、用途若しくは使用を停止すべき日時を定めて、一般電気事業者、特定電気事業者若しくは特定規模電気事業者の供給する電気の使用を制限し、又は受電電力の容量の限度を定めて、一般電気事業者、特定電気事業者若しくは特定規模電気事業者からの受電を制限することができる。
---------------------------------  電気事業法第27条---
 
 
 政府はなぜこれを発動しないのか。どうして東電と契約者との約款だけに任せているのか。停電が長期化する見通しだけに、気にかかります。

コメント

_ えのじゅん ― 2011/03/25 00:05

以前から電事法27条に書かれていることを見るたびに「こんなことあるんか?」と考えていましたが、今回の計画停電(輪番停電)において27条を思い出しました。ただ電気事業法の施行令において、広告や装飾などに限ることや、週2日を限度とするなど謳われているので、今回の計画停電が電事法27条の経産大臣の権限ではなく、黒目さんが言われている通り供給約款により事業者が判断したものであると思います。
今回の原発の事象でどこに東電の非があるのか明確に伝わってきませんが、原発の規制や監視を厳しくしてきた国が第3者的な立場で東電を批判し、ましてや首相(いまどこにいるんでしょうか?)が東電を叱咤している様はどうもしっくりこないのが正直なところです。

_ えのじゅん様 ― 2011/03/25 00:26

わざわざご意見をいただきまして、ありがとうございます。
私も、国の対応はしっくりこないんです。
首相が東電をしかりつけたのは、私にも異様にうつりました。
「政治主導」といいながら約款任せでは、いかがなものか。
経産省の原子力安全・保安院が前面に出ていることにも、疑問があります。
今は福島原発の被害をくい止めることが先決ですが、
停電が長期化することは間違いないので、
いずれ問題が吹き出すのではないかと危惧しています。

コメントをどうぞ

※メールアドレスとURLの入力は必須ではありません。 入力されたメールアドレスは記事に反映されず、ブログの管理者のみが参照できます。

※なお、送られたコメントはブログの管理者が確認するまで公開されません。

名前:
メールアドレス:
URL:
コメント:

トラックバック

このエントリのトラックバックURL: http://kurome.asablo.jp/blog/2011/03/23/5754718/tb

※なお、送られたトラックバックはブログの管理者が確認するまで公開されません。