オイカワの産卵は、オス同士の激しい駆け引きのなかで演じられます。それはもう、必死の攻防です。
　小石がある場所にオスが止まって、メスがもぐりこんでくるのを待ちます。すかさず別のオスが邪魔しに入って、振り出しに。オスがオスを追いかけて排除します。オスはオスを見れば突っかかっていきます。周りに他のオスがいなくなると、再び止まってメスを待ちます。そして、また邪魔されておじゃん。
　そんなことを何回か繰り返しているうちに、運良くメスがもぐりこんでるタイミングがあります。オスは体を震わせてはじめます。そうすると、こんどはメスたちがわんさか寄ってきます。オスが砂を巻き上げるくらいの最高潮に達すると、オスたちもやってきてわけがわからない状態に。そのまま流れ解散です。命をつなぐというのは、悪戦苦闘なんですね。
　１枚目と２枚目の写真に写っている色づいた魚がオスです。本命のメスは、オスに隠れて見えません。オスの尾びれの後ろにかたまっているのもメスです。オスは体を震わせて砂を巻き上げています。ただ、精子らしきものがいつも見えません。別のオスが侵入してきました。
　３枚目と４枚目の写真は、複数のオスが邪魔しに押しかけたところです。