初めて見たヤマドリ2012/05/21

 東京都内でヤマドリを見られるかもしれない。友人からそんな電話をもらいました。これは画期的な誘いでした。子どものころから一度は見たいと思っていた鳥です。自分には見る機会はないだろうと諦めていました。その鳥を見ることができるかもしれない。これは黙っていられません。さっそく行ってみました。
 沢を降りてくるその姿が視界に入ったとき、手がふるえました。こちらに向かってきます。ぶれるなよと心に言い聞かせて、シャッターを切りました。初めから感度を高めに設定して、ぶれないだけのシャッタースピードは確保してあるのですが、気楽には撮れません。
 赤銅色の体がひときわ目立ちます。美しく長い尾。思ったより派手な鳥でした。オスだそうです。写真を撮りながら、ぶれないこと、全身を入れて写真を撮ることと、目に光を入れることの3つを反芻していました。ここまで緊張することはめったにありません。
 子どものころ、家族で遊んだ「百人一首」にヤマドリが出てきます。『万葉集』でおなじみの柿本人麻呂の歌です。
 あしびきの/山鳥の尾の/しだり尾の/ながながし夜を/ひとりかも寝む
 ヤマドリの長く垂れ下がった尾のように、長い秋の夜をたった一人で寂しく寝るのだろうか。
 ヤマドリは、昼間は雌雄がいっしょにいるものの、夜になると峰(谷)を隔てて寝ると信じられてきたそうです。独り寝の習性と長い尾にひっかけて、人麻呂はこの歌をつくったのですね。
 その鳥を見ることができた。最高です。冷静になって写真を見直すと、このオスの尾は短めです。図鑑にはもっと長い尾のヤマドリが紹介されています。
 ヤマドリはキジ目キジ科の鳥で、オスの体長は125センチ、メスは55センチ。尾の長さの違いでこれだけの差が出るのでしょう。留鳥として本州、四国、九州の森林に生息します。だから「山鳥」。日本の固有種です。キジに似ていますが、キジは山の中ではなく平地や農業地、草地などに棲みます。
 
ヤマドリ

ヤマドリ

ヤマドリ

コメント

_ farwater ― 2012/05/21 16:19

こんにちは。山鳥ってこんなにも美しい鳥だったんですね^^。キジより地味ですが、なんというか神々しささえ感じる・・・山の神の使いという感じでしょうか・・・。
キジの尾羽は『フェザントテール』といって非常にポピュラーなフライの材料です。山鳥のそれも、日本古来からある毛ばりに使われていたと聞きますが、美しすぎて使えませんね^^;。

_ たけ ― 2012/05/21 19:58

こんにちは。

山鳥だから「ヤマドリ」って分かりやすい名前ですね。
形はキジとそっくりですね。

いいもの見させていただきました(^^)

_ farwater様 ― 2012/05/21 22:08

こんばんは。私も美しい鳥だと思います。
枯れ枝に紛れると見にくいですが、緑の中にいるとよく目立ちます。
そのヤマドリの羽も毛ばりに使われていたんですか。
昔はたくさんいたのでしょうから、珍しさはなかったかもしれませんが、
いま毛ばりに使ったら、かなり贅沢ですね。
山鳥の尾の羽を弓矢に使ったような話も聞いたことがあります。
この鳥の羽は、重宝がられたのかもしれません。

_ たけ様 ― 2012/05/21 22:27

こんばんは。
いきなりヤマドリを撮りに行って、その日に撮れたので、幸運でした。
またチャンスがあったら鳥に行きたいと思っています。
でも、カメラマンがどんどん増えているようなので、
撮れなくなるかもしれません。

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